次回(第12回)ルソー研究会ご案内


日時:4月8日(土)15:00~
場所:ロイドホール5F 第一会議室


『告白』第二部を読む(1)

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Je fais à Versailles le même personnage qu’un athée dans une église.

Voltaire

.J’ai usé le monde, j’ai usé l’amour même ; toutes les passions aveugles et tumultueuses sont mortes dans mon cœur.

Duclos

Des personnes de la première distinction ont eu l’honneur de partager son refus avec les philosophes ; en un mot, il (=Réaumur) n’a voulu laisser tomber le voile que devant quelques yeux sans conséquence.

Diderot



 ルソーの代表的著作『告白』第二部を読みます。

1. 自伝とは何か? 「近代的自伝」の起源にして最高傑作というとき、われわれは暗に『告白』第一部を想起しています。たしかに第一部は革新的ですが、第二部もそれに劣らず挑発的なものです。しばしば(第一部以上に)史実を完全に無視した、「嘘」(グロリシャール)に満ちたこの書物は、「寓話fable」というかたちで、(まさにディドロが恐れていたような意味での)圧倒的な「真実」を提示しています。自伝とは何でしょうか? 『告白』を「近代的自伝」と呼ぶことでこぼれおちるものはないのでしょうか?

2. 啓蒙とは何か? 多面的な『告白』第二部の主題のひとつは、「啓蒙」の文化社会の「内部」に入り込み、そこから「観察者」として「外部」(としての「制度」)を眼差し、次には行為者≒当事者として「啓蒙」に「働きかけ」、つまり「啓蒙」そのものを生き、最後にはそこからの(不可能な)離反を試みた一知識人の物語≒歴史です。コンディヤックからマブリ、フォントネルからボルド、ダヴィッドからベルナール、グレッセからボーズ、カステルからレオミュール、ラモーからマリヴォー、ディドロからデュクロ、シャルダンからモンテスキュー、ヴォルテールからサン=ピエール、(テレーズからドゥドト夫人?)へと―要するに、化学から音楽、哲学、詩学、歴史、演劇、神学、政治、さらにはチェス、「旅」、社交と恋愛、「性」(おそらくそれらが同時に語られていることには意味があるのでしょう)へと、一八世紀の「知」のあらゆる領域と「界」を横断していく主人公の「寓話」にはどのような「啓蒙」が描かれているのでしょうか。

 政治的読解(「思考する権利」に基づく『社会契約論』の構想を語る名高い第九巻冒頭部)から、(反?)精神分析的読解(父≒ラモー殺し、いまやデリダの読解が不完全に思われる「代補」問題)まで、われわれはいかなる解釈の手法も排除しません。
 このような『告白』第二部読解によって、「自伝」について批判的検討を行い、これまで精読してきた『エミール』に少しばかりでも新たな光をあて、来るべき啓蒙解釈を準備できないでしょうか。(桑瀬章二郎)

第一部 読解
第二部 研究報告:吉田修馬(東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野特任研究員)「『告白』第七巻におけるルソーの倫理思想」

テクスト
Rousseau, Les Confessions II (Livres VII à XII), (GF Flammarion, 2002)
ルソー『告白』(上、中、下)岩波文庫(及び電子版)
範囲
 三〇頁終わり(ヴェネツィアへの出発)まで

お問い合わせは
桑瀬章二郎 skuwase@rikkyo.ac.jp
齋藤山人(日本学術振興会特別研究員PD:立教大学)yamatosaito@rikkyo.ac.jp
まで。


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