第14回ルソー研究会ご案内

第14回ルソー研究会ご案内
日時: 5月26日(土)15:30~
場所: ロイドホール5F 第1会議室

『告白』第二部を読む(3)



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J’allai exercer la profession à Venise. Ah ! monsieur, si vous pouviez vous imaginer ce que c’est que d’être obligée de caresser indifféremment un vieux marchand, un avocat, un moine, un gondolier, un abbé ; d’être exposée à toutes les insultes, à toutes les avanies ; d’être souvent réduite à emprunter une jupe pour aller se la faire lever par un homme dégoûtant.

Voltaire, Candide



Ne va pas surtout reprocher à une femme ses défauts physiques […] l’habitude atténue bien des choses, tandis que l’amour naissant remarque tout.

Ovide, L’Art d’aimer (traduit par H. Bornecque)




 政治の領域から性–愛の領域へ。ルソーのヴェネチア滞在の最後を彩るのは娼婦、すなわち金銭によって売買・共有される女性たちの形象です。彼女たちとの邂逅の物語は「船」のトポスから紡ぎ出されますが、ここでルソーの身を揺らすのは、サン=ピエール島から漂流してそれ自体も換喩的に一つの島に転化する小舟ではなく、水路の張り巡らされた都市空間を循環しつつ、他者との交わりへと乗り手を運んでゆくゴンドラであって、ゆえに彼は「危険な代補」を用いて自足することが適わず、女性という彼岸に接舷(aborder)することを余儀なくされます。しかし、このような「冒険(aventure)」の挿話が読者にかき立てるのは、単に下世話な好奇心だけでなく、書物の題名とそこに表現されている企図への注意です。「告白」とは何か? 作品の理念そのものに折れ重なる自己言及的な問いが、娼婦たちへの接近=接舷という危機的なモメントにおいて回帰してくるのは果たして偶然に過ぎないのでしょうか。(齋藤山人)

テクスト
  Rousseau, Les Confessions II (Livres VII à XII), (GF Flammarion, 2002)
 ルソー『告白』(上、中、下)岩波文庫(及び電子版)
範囲
  p. 54 « Mais, à propos de filles… » 〜 p. 62 « … Revenons à mon voyage. »

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 桑瀬章二郎 skuwase@rikkyo.ac.jp
 齋藤山人(日本学術振興会特別研究員PD:立教大学)yamatosaito@rikkyo.ac.jp


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