第9回 ルソー研究会

第9回 ルソー研究会

日時:2016年5月7日(土)15:00~
場所:立教大学ロイドホール5階第3会議室

『エミール』を読む(9)

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あらゆる不測の事態を「生き延びる」ために、子どもの身体には「道具」としての精密性が求められ、事物の関係を(感覚によって)計測・把握するための鍛錬exerciceが課されます。感覚器官の中でも、視覚の信頼性が疑問に付され、触覚の地位が(相対的に)上昇するのはひとまずこのような観点からでしょうが、これら二つの « sens » の間には、暗闇への本能的「恐怖」や、(それを嘲りあるいは克服するための)「笑い」といった無視しえないtoposが介在し、(時に自伝的な挿話を展開しながら)議論の細部を肥大化させています。感覚の問題とともに現れ、足早に通り過ぎてゆく盲人・聾者の形象の傍らで、そして、まだ見ぬソフィーへと追いつくために、目眩くテクストの深淵を「走らされる」エミールは、走ることそのものへの « goût » (嗜好・味覚)へと駆り立てられていくようです。(齋藤山人)

第一部 読解
 白川理恵(目白大学非常勤講師)「『エミール』第二篇における経験expérienceと感官sens の鍛錬exercice」

 安田百合絵(東京大学大学院博士過程)「『エミール』第二篇におけるgouvernement de soiの問題」

第二部 研究報告
 淵田仁(日本学術振興会特別研究員PD)「ルソーにおける「憐憫」の政治性について」

テクスト
Rousseau, Émile ou l’éducation, (GF Flammarion, 2009) - 180頁最終行~207頁第一段落末まで。
ルソー『エミール』(上、中、下)岩波文庫(新版)


桑瀬章二郎
齋藤山人(日本学術振興会特別研究員PD:立教大学)
yamatosaito@rikkyo.ac.jp


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