第16回ルソー研究会ご案内


日時:2019年6月22日(土)15:00〜
場所:立教大学ロイドホール5階 第2会議室

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「サヴォワ助任司祭の信仰告白」を読む

『エミール』第4巻に挿入された物語内物語「サヴォワ助任司祭の信仰告白」とは一体何なのか。自然宗教を称揚する文章なのか、自然的知識しか有さないエミールに良心という道徳的原理を植え込むための理論的装置なのか……。家庭教師(ルソー?)はこの「信仰告白」を自身の創作(ないし自らの体験)とは認めず、ある原稿の「書き写し」であると主張する。そうなるとこの「信仰告白」の発話者/原稿制作者/受取人の関係性は幾重にも複雑なものとなる。しかも、その告白はエミールに対して何かしらの規則を提示するためのものではない。助任司祭の意見を「検討examiner」するべく供されるものであるようだ。こうした伏線は一体何を意味するのか。私たちはこの複雑奇怪なテクストを読む。(淵田仁)

「信仰告白」については「すべて」が語られてしまったといわれる。たとえば「自由」概念をめぐる『社会契約論』との相互補完性(Bernardi)。ベルクソンにも通じる新たな「宗教」思想の創出(Waterlot)。断罪の背景としての、高等法院(オメール・ジョリ・ド・フルリ)の「政策」とマルゼルブ「政策」の劇的な対立…。ところで、「信仰告白」を、「キリスト教」の存続とそのために不可欠な「近代化」のプログラムとして読むことはできないだろうか。「無宗教の帝国」(ボーモン)のための書ではなく、来るべき「キリスト教」の「帝国」のための書として。(桑瀬章二郎)

テクスト
Rousseau, Émile, Introduction, notes et bibliographie par André CHARRAK (GF Flammarion, 2009)
ルソー『エミール』(上、中、下)岩波文庫
範囲
p. 376. « Il y a trente ans que, dans une ville d'Italie » ~ p. 387 « quand elles ne mènent à rien d'utile pour la pratique ».
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桑瀬章二郎 skuwase@rikkyo.ac.jp
淵田仁 fuchida.masashi@gmail.com


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